あの日　わたしは

宮城県南三陸町- 入谷地域というのは、常に災害の時は、炊き出しという、基本的な考え方が植えつけられているので、お母さん方に即、おにぎりを握っていただいたんですけれども、これを何としても、いち早く届けたいっていう。宮城県南三陸町入谷地区の農家、西城新市（さいじょう・しんいち）さん。津波で大きな被害を受けた沿岸部のために、地区をあげて、炊き出しを行いました。入谷（いりや）地区は、米作りが盛んです。西城さんの家も２８０年にわたって、米を生産しています。この日の昼食も、もちろんおにぎり。「うん。これはうまい」あの日が来るまで、自分たちが作ったこのおにぎりを、祈るような思いで誰かに届ける日がくるとは、思ってもいませんでした。腹減っていると、誰も彼もみんな動けなくなる。なんていうのか、命をつないでくれたっていう、そういう思いで、とにかく命をつなぐんだよと。