あの日　わたしは

千葉県旭市- ちょうど真っ正面に（波の）山ができたんですよ。とてつもなく速かったですよ。チリの地震のときの記憶よりは、相当、山も大きくて。チリより速いぞ、逃げた方がいいな、ということで。千葉県旭市で、生花店を営む海上六郎（うなかみ・ろくろう）さん。海岸で、津波が押し寄せてくるのを見て、車で高台に逃げました。津波による旭市の浸水範囲です。海上さんが暮らす飯岡（いいおか）地区は、市内で最も被害が大きかった地域です。あの日、海上さんは、店にいる時、激しい揺れに襲われました。店にいたら、ぎしぎしと来て。こりゃ、つぶれるんじゃないかなという恐怖感はありましたね。海の様子が気になり、自宅から１００メートルほど離れた海岸に向かいます。海上さんは、昭和３５年に大きな被害をもたらした、チリ地震による津波を経験していました。