証言記録　東日本大震災

岩手県大槌町- ２階の高さぐらいのしぶきがワーッというのが迫ってきて、その上に家の屋根。どこの家の屋根か分からないですがね、その家の屋根がサーファーみたく乗っているのがダーッと来て。何だと思った瞬間に、そっちを見ながら後ろの方からも飛ばされて。岩手県大槌町（おおつちちょう）の大萱生良寛（おおがゆう・りょうかん）さん。兄弟で寺の住職を務めています。震災当日、兄の良寛さんは寺で津波に襲われ、助かりましたが、父親と大学生になる息子を亡くしました。大槌町の中心部、町方（まちかた）地区です。かつて城があった山のふもとに町並みが広がっていました。津波はすべてを押し流し、山すそにある寺にまで達しました。曹洞宗の江岸寺（こうがんじ）です。津波で四百近くの墓がなぎ倒され、本堂や、庫裏（くり）もすべて破壊されました。