あの日　わたしは

福島県南相馬市- ここまでは来ないだろうと思っていたらば、瞬間的にわさっと倒された。波で。ブロック塀を倒されて、初めて大変だと気がついた。それで今度は向こうの方に、高い所にさらに逃げた。福島県南相馬市原町区で農業を営んでいた松本英俊（まつもと・えいとし）さん。津波で、妻を亡くしました。原町区下戸屋（しもとや）地区にあった松本さんの家は、海からゆるやかな傾斜が続く高台に建っていました。海面からの高さは、およそ９メートルありました。地震のあと、妻は近所の人たちと、集落の様子を見に出かけました。庭に出ていた松本さんは、ある異変に気がつきます。ここから道路を見ていたらば、軽自動車３台走っていったんですよ。そして一番後ろの人が、車が、「逃げろ」って大声出してきたんですね。そんで、パッと見てたら、すぐ後ろ波が走ってきてたんですよね。