あの日　わたしは

福島県いわき市- 水がゴーッと入ってくるのが見えたんですよ。私がバックして向こうに逃げようと思って後ろを見たとたん端、あそこの路地からも波がちょうど入ってきまして。波に飲まれたと。挟み撃ちですね。どちらにも逃げようがないと。福島県いわき市四倉町（よつくらまち）で、食堂を営んでいた佐藤克美さん。家族と車で避難している最中、津波に飲まれました。佐藤さんの食堂は、海岸から３０メートルほどの場所にありました。地震が起きたとき、佐藤さんはちゅう房にいました。衣を絡めたとんかつを（油に）いれて、入れた瞬間、なんかゴゴゴゴと、なんだこの音は？と感じたときに揺れが始まったんですね。タレやラーメンのスープがガス台から落ち始めたんです。テレビを見ると、大津波警報が出ていることに気がつきます。