あの日　わたしは

岩手県釜石市- 屋上に上がった時点では、もう全部、うちの自宅も何もなくて、海になっていましたね。どこかで生きているかもしれないとか思って。ただただ息子の名前をずっと叫んでいました。岩手県釜石市の菊池真智子さん。息子を避難させようとしているうちに、車ごと津波に流されました。震災当日、仕事場で大きな揺れを感じた菊池さんは、１８歳の息子のことが心配になり、急いで自宅に戻ります。あの、ラジオで最大3メートルの大津波警報が出ていますって聞いて。自宅は、海のすぐそばにありました。菊池さんは、息子に避難しようと呼びかけますが、息子は取り合ってくれませんでした。息子の部屋に行って、息子に逃げなさいって。津波が来るから逃げなさいって言って。でも息子は、ん？っていう感じで、動かないようなことを言っていたので、逃げなきゃだめだよって言ったんだけど。