あの日　わたしは

福島県大熊町- 誰かいるだろうと思ったんだ。誰もいないんだ。人っ子１人通らないんだよ。それで、これはどうしようもないなと思って。やっぱりいくらかね、焦りっていうのはあったよね。俺のことを１人だけ置いて何だろうって。福島県大熊町（おおくままち）で、１人暮らしをしていた鈴木利徳（としのり）さんです。原発事故の情報が伝わらなかったため、町に取り残されました。３月１１日、午後２時４６分、自宅にいたとき、大きな揺れを感じました。座ったまま動けなかったですよ、揺れちゃって。もう、はい上がれない。足も悪いしね。タンスでも、つかもうかと思ったって歩けないんだから。バタバタ倒れるしね。３月１２日の早朝、原発が危険な状態にあるとして、原発から１０キロ圏内の住民に対し、政府から避難の指示が出されました。鈴木さんの家は、原発からおよそ７キロほどのところです。