あの日　わたしは

福島県相馬市- これで駄目でねえかと思った。帰んないほうが一番良かったんだべ、結果的にはね。そうすれば、家は無くなっても、けがしたり、そういうこともなかったわけだから。福島県相馬市の高力永生（こうりき・のりお）さんです。地震が起きたあと、自宅に戻ったところを津波に襲われ、家ごと流されました。高力さんの暮らしていた相馬市磯部。美しい浜辺に沿って、およそ１８００の家や倉庫などがありました。津波でその６割が流され、２００人以上が亡くなりました。被災者の中には、海から遠く離れていて、津波の危険がなかった場所から、自宅に戻った人もいました。高力さんも、その一人でした。高力さんはあの日、自宅から６キロ離れた碁会所（ごかいしょ）にいました。部屋が激しく揺れ、高力さんたちは、すぐに外へ飛び出しました。友人：もうこの家がね、こう動いていたんだよね。平屋と2階とね。