あの日　わたしは

宮城県石巻市- 本当に、現実味が、目の前で起こっているのに、現実味がなくて。ただぼう然と、ただ見ているだけっていう感じですね。もうその、目の前に見えている光景に、飲まれてしまったっていうか。水位がだんだん上がっていく中で、半分あきらめっていうか、水が止まる気配がなかったので。そうですね。なすすべがないっていうか、そういう状況だったんですけど。携帯（電話）で撮影して。次々と家を飲み込んでいく濁流。屋根の上から撮影した映像です。撮影した条惇（じょう・あつし）さんです。宮城県石巻漁港の近くにある、実家の食品卸会社にいたとき、津波に襲われました。震災の一月前に、長男が生まれたばかりの条さん。里帰りしている妻と子が、数日後に自宅に戻ってくるのを、楽しみにしていました。車で食品の配達をしていた条さん。その時、激しい揺れが襲いました。