医療支援、(闇から光へ)

気仙沼市在住　嶋村理恵子さんが 2011年夏の終わりに執筆されたエッセイ「 医療支援、(闇から光へ)」を2012.7.16に Koko Howellが 執筆者から投稿承諾を受けている。＊＊＊＊＊＊＊＊大地震、巨大津波を起こした3.11。現実とは思えないあの惨状の中、迅速に医療支援は始 まった。そして気仙沼の医療が立ち上がるまで被災地、被災者を支え続けた、医師を中心 とする医療関係者が大勢いた事を、忘れてはならない。また、気仙沼は発災直後から東京 都の支援を受け、福祉保健局の方々が調整役として最後まで支援してくださった事にも、 心より感謝したい。 気仙沼の医療支援は、市の健康管理センター「すこやか」を拠点に行われた。(震災直後は 気仙沼市立病院が拠点、 3/23 からすこやかへ移る。)そこでは毎日、朝夕ミーティングを 重ね、活動報告、問題等の提起、そして、問題が持ち上がればその中で話し合い、解決策 を模索し、場合によっては行政を含む災害対策本部に上げ、その報告等が行われる。時に は、熱いミーティングになることもあった。 全国から、医療従事者、関係者が集い、同じ目的を持ち活動する。そこには垣根もなく、 被災地、被災者を救う真の医療者の姿があった。震災当初は、ライフラインも遮断され、 宿泊も、食事も大変な思いをされた事と思う。寝袋持参で入られたり、気仙沼に宿泊先が なく、遠方の宿泊先から通われていたりとご苦労されていた。余震も頻発する・・大きな 余震もあった・・そんな中で支援は続く。 震災により家族、知人、家、職場、職を失い途方に暮れる人々。通っていた医療機関が被 災し、また交通の便もないなど、重病や体調不良を訴える人以外に、避難所には多くの患 者がいた。全国から集結した医療チームが被災者を支える。診療、心のケア、健康相談の みならず、避難所の食事、環境衛生、生活細部に渡り、気配りし問題を解決していた。病 そのものだけでなく、その人の置かれている状況、背景、そして今後を考えた、まさしく 「人」を診る医療が行われていたのである。医療の原点がそこにあったように思う。それ は、朝夕のミーティングを通して、医療関係者と交わした会話の中から、また数回医療チ ームと帯同した時にも感じていた。皆、熱い想いで、被災地、被災者の事を考えていた。 地元医療機関を立ち上げ、患者を地元に戻す事が、復興になると信じ活動は続く。救護所 からの院外処方の推進、災外処方は原則1 週間というのも、そのひとつで、あった。また、 救護所の集約も、医療チームの情報をもとに徐々に進められていった。 常勤医師不在の公立病院は、今も支援が続いているが、その病院も10 月から以前支援に入 られた医師が赴任する。そして、被災地への赴任を考え行動していた医療者がいる事も開 いている。今も、被災地へ入札避難所、仮設住宅を廻る医療者もいる。巡回療養支援も 継続で行われている。 そういう熱い医療者に支えられて今がある。支援が終わった後も、被災地を想う医療者が いる・・被災地に足を運ぶ医療者がいる。・・医療支援は終わってはいない。熱い想いは、 今も被災地、被災者を支え続けている。（了）