研究　災害救援に従事した警察官における惨事ストレスの分析 [PDF]

平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は，死者 15,856名，行方不明者 3,084 名，全壊家屋 129,489 棟もの多大な被害をもたらした（平成 24 年 4 月 4 日現在）。被災地には，各機関から緊急援助隊が派遣され，警察職員も延べ 922,000 名が被災地に派遣されている（平成 24 年 3 月 29 日現在）。災害や事故などの悲惨な状況による外傷性のストレス反応は惨事ストレスと呼ばれる。大規模な災害では，被災者だけでなく救援者も大きな惨事ストレスが起こることが指摘され，消防職員，自衛隊員，報道関係者等を対象に調査や対策が行われている。警察職員にも惨事ストレスがあると予想されるが，本邦において警察職員を対象とした調査研究は少なく，警察職員の惨事ストレスの実態についての統一見解はない。