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竹内 直人
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立花書房 講座警察法 第三巻 ◇コラム◇ 東日本大震災への対応状況 2
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立花書房 講座警察法 第三巻 ◇コラム◇ 東日本大震災への対応状況 pp.715~717
竹内 直人
2 部内会議での指示
初日深夜の幕僚班長会議で、次の3点を指示した。①未曾有の事態であり、県警としてやれることにも限界があるが、県民のため、やれることはすべてやる覚悟で臨む。②長期戦を覚悟する。③部門を超えた全職員のチームワークがカギ。
また、行方不明者相談ダイヤル20回線の設置も別途指示した。
翌日(3月12日)には、次の3点を指示。①1万人を超える被害が想定され、まさに地獄。②これからが本番であり、仮眠を取る、取らせることも重要。③非常に厳しい勤務条件だが現場はもっと辛いし県民は更に辛い。
このように、幕僚班長会議(当初毎日1回)での各種指示を継続したが、例えば、3月13日には、次の3点を指示。①犠牲者は万人単位か、地盤沈下の問題もある。②各種措置の発動には時間がかかる(→国に現場の目による情報をいち早くとどけることが重要)。③積極的な広報(6)による情報共有と現場活動(免許、交通規制、行方不明者相談等を含む。)の円滑化に意を用いるべき。
3月15日には、次の3点を指示。①県警察全体が一つの署(本部長=警視)、幹部も二階級ダウンの担当者意識で(指示するのではなく)自ら動くべき。②物流がカギ:常に調達・運送を考える:総論ではなくどこに何が何個必要という各論を考えるべき。③長官の激励と現場統括官の感想(生まれ育った宮城県のため劣悪環環境下頑張ている旨)を紹介。
(6)未確認情報を含めた各種情報の記者クラブへの「張り出し」(未確認である旨の表示を含む。)に努めたほか、本部長記者会見を定期的に開催した。また、ホームページへの各種情報の積極的な掲載や、本部長自らを広告塔にする試み(本部長同行者による手記の公表、視察時の現場広報による記事化等)も行った。参考:平成23年5月23日付け日刊警察「本部長被災地視察督励帯同記」
3 全職員へのメッセージ
3月17日、全職員へのメッセージを起案し、通常の文書発送ができなかったため、ラミネート方式で発出した。以下、全文を引用する。
◯ 被災以来7日目。この間文字通り不眠不休で頑張っている皆さん一人ひとりに直接声をかけたいのだが、それすらできない状態で、本当に歯がゆい。
◯ せめてこの紙が何らかの形(回覧等)で皆さんの手に届くことを強く願う。
◯ 食料・水・ガソリン等すべてが全く足りない。いまだに停電の地域も広範であり、電話もひどい状態。情通部が必死に支えているので、警察無線やワイドは維持されているが、相互連絡も容易ではない。補給班も神業に近い形で何とか日々の食事を調達しているが、なかなか厳しい。このように、極めて劣悪な勤務環境での任務遂行をお願いしており、本当に申し訳なく思う。
◯ しかし、県民はもっと辛い。こういうときにこそ踏ん張るのが警察だ。疲れも極限状態だろうが、何とか気力を奮い起こして、ベストを尽くしてほしい。
◯ 殉職した警察官も多数で、不覚にも滂沱の涙で仕事にならない時がある。家族が行方不明なのに、素振りも見せない者も多い。やり切れない思いで一杯。しかし、一昨日、長官を通じて、陛下のお言葉が伝えられた。文字にできないが、幹部には既に伝達したので、口伝てに届くことを願う。
◯ 当分この非常事態が続くことを覚悟しなければならない。こういう時だからこそ、警察は頼りになる存在でなければならない。最愛の人を失って悲しみに打ちひしがれている県民に、手を差し伸べよう。行方不明家族の手がかりを必死で求める方々に、心を寄せよう。
◯ 皆さん一人ひとりの力を信じている。未曾有の事態だが、一致団結すれば何とかなる。「宮城県警察ここにあり」だ。頑張ろう。健康にはくれぐれも留意されたい(長丁場なので可能な限り仮眠をとることも大事)。疲れているので、事故や怪我にも気を付けよう。お互いに声を掛け合おう。
◯ 身体は本部にあっても、心は現場の皆さんの下にあるつもり。各位のご活躍を心の底から期待している。すまないが、頑張ってくれ!
* 応援派遣で来県された全国の警察職員の皆様には、心から御礼申し上げます。皆様がいなければ、すべての任務が全く成り立たない状況です。本当に有り難うございます。本来ならもう少しましな接遇をすべきであり、受援担当者も必死で対応していますが、こういう状況で本当に申し訳ありません。しかし、何とかベストを尽くしてください。よろしくお願い申し上げます。
続く
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