本資料は、日本赤十字社が1990年12月から1993年3月にかけて朝日新聞社などと行った、チェルノブイリ原子力発電所事故被災者救援事業について報告したものである。 Ⅰ章では、事故の概要とその影響を説明している。事故により旧ソ連の3共和国だけで500万人が生活する地域に影響がおよび、死者数6000人といわれている。また、事故による放射線が人体に与えた影響として血液疾患、甲状腺異常、先天異常を挙げて説明している。 Ⅱ章では、国際赤十字・赤新月社連盟が目指したチェルノブイリ原発事故被災者救済事業を説明している。冒頭、1990年1月に連盟が行ったチェルノブイリ原子力発電所事故被災地域調査結果の報告がある。事実に基づく正しい情報の提供や、旧ソ連国内外の科学者、国際機関と協力し、事故の経験から学ぶ機会を提供していくことの大切さを提案している。 その後、1990年6月には、連盟は上記の調査に基づいてチェルノブイリ人道支援プログラムを策定した。この活動方針に基づいて日本赤十字社では、1991年4月から7回にわたり3共和国から医療関係者、被災児を日本に招聘し、医療研修、被災児の検診などを行った。また、8回にわたり日本から医師などからなる調査団を派遣し、研修のフォローアップと現地医療サポートを行ったことを記述している。 なお、文中で放射能、放射線に関する旧単位が用いられているが、1Sv=100レム、1キューリー(Ci)=370億ベクレルである。
Report on relief activities, conducted by Japanese Red Cross Society, Asahi Shimbun and TV Asahi, for the affected people caused by Chernobyl Nuclear Power Plant accident. In these activities, Japanese Red Cross Society dispatched investigation team, invited doctors and small children living in affected area to Japan, and provisioned medicines to affected area.