２０２０仙台ワークショップ課題

　岩沼市立玉浦中学校では，あの日卒業式を終え，卒業を祝う会を行っていました。大きな揺れにもちろん恐怖を感じていましたが，今でも記憶に残っているのは地鳴りのような音と校舎が傾いているような感覚になったことです。その後，地区を津波が襲い，玉浦中学校は校舎内への浸水こそ免れたものの，グランドは胸くらいの高さまで浸水しました。その日は，避難所運営をしましたが，運営といっても何の備えもなかったので，生徒たちの力を借り，理科室の豆電球で階段に明かりを灯すことや，校舎内の見回り程度しかできませんでした。 　そして大変残念なことに，隣のクラスの２名の生徒が家族と避難をしようとしていたところ津波にのまれ，若い命を落としてしまいました。同じ学年の生徒たちは，２人の分まで強く生きると誓い，一生懸命学業や部活動，行事等に取り組みました。卒業式は２人への証書授与こそかないませんでしたが，生徒達に「２人と一緒に卒業したい」という強い思いがあり，ご家族にも許可をいただき，２人の遺影とともに式を挙行することになりました。 　その生徒たちも数年前に成人式を迎えましたが，成人式の前に玉浦中学校にある２人の慰霊碑の前にほぼ全員が集まり，再会を果たしました。この人達がいるなら，これからの岩沼市は大丈夫・・私をはじめあの場にいた教員は皆そう思ったのではないかと思います。