R・Aさん(70代)

R・Aさん(70代)

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Testimonial
Geolocation
38.434332, 141.3028682
Location(text)
宮城県石巻市
Latitude
38.434332
Longitude
141.3028682
Location
38.434332,141.3028682
Media Creator Username
SS
Media Creator Realname
千葉直美
Scope
One Page
Language
Japanese
To
From
Place of Residence
宮城県石巻市
Occupation
美容師
Media Date Create
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Japanese Title
R・Aさん(70代)
Japanese Description

美容室にて 夢を実現して  数日前に予約をして初めてのお店に入った。自宅の一角を美容室とした家屋である。庭に花が咲き乱れ夏のまぶしい光を浴びている。誰かの自宅を訪れるような感覚。ドアから顔を出した優しそうな女性。 こじんまりした店内は、窓が大きく外の光がいっぱい差し込む清潔感が漂う。植物がたくさん置かれている。 「髪を伸ばしたいので、毛先をそろえる程度に切ってください。」と告げる自分。 「はい。」と笑顔で答える女性に、なぜか安心して任せられるような気がした。 「ここへ引っ越してきて、もうすぐ10年になります。あの津波で店が流されて、何もなくなったんですけど、すぐに、この土地が見つかり再開できました。」 私は初対面ということもあり、震災については触れないようにしようと思っていたのだか、彼女の方から話し始めた。 「あの日は、別の場所にいて、すぐに高い所にあるお寺に避難しました。近くの水産会社から牡蠣を分けていただいて、外でみんなで焼いて食べたことを覚えています。寒かったですねぇ。3日後に店に戻ると、跡形もなく流されていて土台だけが、わずかに残っていました。それから大型スーパーに避難して、食べ物を分けてもらったので助かりました。そして親せきの家にもお世話になりました。」 シャキシャキと私の髪を切っていく。なぜか初めて会ったとは思えない親しみを覚える。 「お店は、もうやめようかと正直思いました。もうやらなくても、いいかなぁって。でもお客さん達が、もう一回やってちょうだいって言うので、この別の場所で再開したんです。そのお客さん達がやってきて支えてくれ、あきらめなくてよかったと思います。」 「美容師になろうと子供の時から考えていたのですか?」 「そうなの、子供の時から髪を触るのが好きで、美容師になろうって決めていたんです。それ以外、考えられなかったですね。」 「夢が実現できて、よかったですね。」 「そうですねぇ。仕事が楽しいもの。」 ふと彼女は手を止めて、前髪はこの長さでいいのかと私に問う。 「いつまで、震災をひきずっているの?って言う人もいるけど、あの出来事を忘れることはできませんよね。ずっと胸に刻まれていると思う。」 「また来てください。」と言う美容師さん。会計を済ませてお店を後にする時、まるで知人の家から帰るようだった。 以上

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